Smartsheet が複数プロジェクト管理に最適な理由の記事でベースラインに簡単に触れましたが、プロジェクトの当初計画との差異確認に便利なベースライン (Baseline)の機能ついて、解説します。
ベースライン機能とは
Smartsheetは、クラウドベースのプロジェクト管理・コラボレーションツールで、チームの仕事を整理・管理するためのさまざまな機能を提供しています。Smartsheetのプロジェクト管理にとても便利な機能の1つに、ベースライン機能があります。
SmartSheetのベースライン機能により、ユーザーは特定の時点におけるプロジェクト計画のスナップショットを取得することができます。このスナップショットには、その時点のすべてのタスク、期限、依存関係が含まれています。このベースラインは、当初の計画に対する進捗状況やパフォーマンスを測定するための基準点として使用することができます。
下のイメージでは、計画時点(またはベースライン設定時点)でのタスクの開始、終了(期限)の日時が記録され、その後の実際のタスクの開始日、終了日を更新していくことにより、差異(Variance) が自動計算されています。(Project 2のDurationが当初3日の予定のところ、34日となり、31日の遅れが生じ、それが親行であるParent Project 1にロールアップされています。)
なお、日本語表示でベースラインを設定した場合は、下のような列名となります。
下のイメージでは、ガントチャートの部分も含めて表示視されていますが、ベースラインの日付と実際の日付に対する視覚的なガント バーが表示されています。
下のイメージは、ガントチャートの部分を拡大したもの。Project 2のDurationが当初3日間の予定であったことが示されている。
ベースライン機能により、ユーザーはプロジェクトの現状を当初の計画と比較し、乖離や遅れを特定することができます。この情報は、プロジェクト計画を調整し、より効果的にリソースを配分し、プロジェクトを軌道に乗せるために利用することができます。
ベースラインの設定
ベースラインを設定するには、ガント ビューに切り替えて、ツールバーの 「ベースライン」 ボタンをクリックします。
プロジェクトの設定で依存関係が有効になっている場合は、[先行タスク] 列 (Predecessors) で指定された依存関係により計算されたプロジェクト全体の設定時点での開始と終了が表示されます。(下のイメージでは、開始が23/04/01で終了が」23/06/01)
よければ、有効にするには、[設定] ボタンをクリックします。
ベースラインのリセット、削除
その後、プロジェクトが進行し、実績と計画(ベースライン)に差異が出てくると、このベースラインのメニューからの表示でもプロジェクト全体の差異が示されます。
リセット
当初計画との差異があるが、それを所与のものとして今後のプロジェクトを管理する場合には、ベースラインをリセットします。
ベースラインをリセットするには、[リセット] を選択します。 これにより、差異が 0 にリセットされ、ベースライン列の値が開始日列と終了日列の現在の値に設定されます。
削除
当初計画を見直し、変更し、ベースラインを最初から設定しなおす場合などは、いったん、「削除」によりベースラインの設定を無効にします。なお、この場合、ベースライン機能により追加されたBaseline Start(ベースライン開始日)、Baseline Finish(ベースライン終了日)、Variance(差異)の列はそのまま残りますので、同じ名前で再度ベースラインの関連列を追加したい場合は、これらの列をいったん削除します。(なお、削除しないと、再度、ベースラインを設定した場合、Baseline Start2(ベースライン開始日2)といった列が追加されます。)
親行へのベースラインのロールアップ
プロジェクト シートで依存関係が有効になっている場合、Smartsheetが親ロールアップ機能と呼ぶ機能により、親行では、特定のプロジェクト シート列のロールアップ サマリーが自動的に反映されます。
これはベースラインについてもあてはまります。
Smartsheet Community でのインデントされた行を持つベースラインについての質問
Smartsheet Community にインデントされた行を持つベースラインについて、以下のような質問がありました。
161日遅れているタスクがあります。(Plan Organizational Change Management)
しかし、私の行はインデントされており、ベースラインがこれを考慮していないように見えます。ベースラインでは、このタスクは161日遅れていますが、「計画」セクションの全体は0になっています。
これは意図したことなのでしょうか?
確かに、Varianceと思われる列がPlan Organizational Change Managementのタスクでは-161になっているのに、親行のProject Management Planのところでは0と表示されています。
質問に対するCloudsmartの回答
これに対して、以下のような回答を行いました。
プロジェクトで先行者を設定しましたか?
そうでない場合、親レベルの日付に影響を与えない実際の日付変更では、親レベルの差異が0と表示されます。
そして例示として添付したのが下のシートです。
画像または下のURLをクリックするとPublishしたシートが見えますが、Parent Project1ではPredecessors(依存関係)が設定されて、Variance(差異)の-31日が親行にもRoll UP(反映)されていますが、その下の Parent Project2ではPredecessorsが設定されていないので、質問者のケースと同じように親行でのVarianceが0と表示されています。
まとめ
以上のように、ベースライン機能は、当初計画時点におけるプロジェクト計画のスナップショットを取得し、プロジェクトの進捗状況を把握し、問題を早期に発見することを可能とします。
プロジェクトがスケジュール通り、予算内に収まるように情報に基づいた意思決定を行う必要があるプロジェクトマネージャーにとって、ベースライン機能は他のツールには見れれないSmartsheetの貴重なツールといえるでしょう。