エクセルからスマートシートへ (Workshop 1)

目次

エクセル資源のスマートシートによる有効活用

第一部 

はじめに

多くの日本の企業や組織においては エクセル は業務情報の記録や処理の中心となっています。 

このチュートリアルでは備品管理のエクセルのシートを例としてこれをスマートシートにインポートして設定を行うことによってどのようにスマートに利用できるかを説明していきます

インポート

インポートの方法

インポートは左のメニューにあるプラスのところをクリックするとソリューションセンター が表示されますのでそこからインポートをクリックします。

 インポートできるファイルの種類はExcel以外にもグーグルシートなどもありますが、ここでは Excel を選択してインポートしたいファイルを 選択します。

インポート設定

インポートを行うと「インポート設定」という画面になりますのでここでは列ヘッダーとプライマリー列を選択します。

プライマリー 列

プライマリー列はそれぞれの行のタイトルのような意味を持ちます。スマートシートの日本語化では、インポート設定の注に、「プライマリー列には各行(かくぎょう)の『主記述子』が含まれている必要があります。」、とあります。

少し分かりにくいので、実際の機能としてどのようにプライマリー列が使われるかということを説明致します。
まず行をツリー上に構造化する「インデント」において基準になる列になります。 また「カードビュー」ではプライマリー列の情報が最小表示でタイトルとして表示されます。

列の項目のある行

次に列ヘッダーとして列ヘッダーが含まれている行をクリックします。

日本の組織では、 Excel を使うときに、上部に、「表のタイトル」とかあるいは「作成日付」とか、を表示してる場合が多いですが、 それらの行は無視して、表形式のデータが並んでいる「テーブル状の部分」の一行目の項目名の並んでいる行を、「列ヘッダー」として選択します。

エクセルシートの前処理

なお、これも日本のエクセル利用で多いのですが、「セル結合」があるとインポートがうまくいきませんので、事前の処理として「セル結合」を解除して、「テーブル形式」で情報が並んでる状態にしておく必要があります。 

インポートの実施

設定が終わったらインポートをクリックします。

インポート直後の画面はエクセルのシートと非常に似たような形になっております。

列のプロパティの設定

列のプロパティとは

スマートシートではMySQLなどのデータベースでよく使われる「データ型」が採用されて、データの整合性を高めるとともに、より便利に使えるようになっています。

列タイプ

列タイプには「文字列/数値」、「連絡先リスト」、「日付」、「ドロップダウンリスト」などがあります。

ここでは具体的に「備品管理表」で使う列タイプを説明します。

文字列/数値

この列のタイプでは文字列、数値、またはその 2 つの組み合わせを使うことができます。

 例えば文字列としては「備考」のところに少し長めのコメントを文字列で入れることができます。 文字列は折り返し表示に設定することにより複数行で表示することができます。

 数値としては、例えば「現在数」、「使用率」の列がこれに相当します。数値については書式を設定することにより、通貨表示にしたりパーセンテージ表示にしたりすることができます。

 さらに「式」を入力することも可能ですが「式」については別に説明いたします。

連絡先リスト

「連絡先リスト」の列タイプは行のタスクなどを人に結び付ける場合に用います。

例えば、「割当先」、「承認者」などです。

このシートでは、「発注担当」、「管理者」、供給先の「担当者メール」を連絡先リストに設定します。

入力できる値は、連絡先名とメール アドレス、名前のみ、またはメール アドレスのみです。

グーグルなどのアカウントの場合、そのアカウントで写真が設定してあると顔写真が表示されます。また、スマートシートの「個人用設定」で設定することもできます。

日付

「日付」の列タイプは行のタスクなどを何らかの日時に結びつける場合に用います。

例えば、タスクの「開始」、「終了」等がこれにあたります。

このシートでは、「購入/リース日」、「本日」を日付に設定します。

セルに日付選択カレンダーが表示されるため、日付を簡単に選択できます。

ドロップダウンリスト(単一選択)

「ドロップダウンリスト(単一選択)」の列タイプを選択するとリストに表示する値を入力できるようになります。

リストの値に行が分類されるので、カードビューでその情報を基準にカードの列を作ることが出来ます。(次の項目で説明します。)

ドロップダウン リストの値は 1 行に 1 つずつ入力します。

このシートでは、「分類」、「保管場所」、「会社名」をドロップダウンリストに設定します。

スマートシートのビュー

スマートシートのシートは、はエクセルの表のような標準の「グリッドビュー」の他に、「ガントビュー」、「カードビュー」、「カレンダービュー」で表示することが出来ます。

カードビューでの表示

メニューの「グリッドビュー」の所をクリックして、「カードビュー」を選択します。

先程、列のプロパティの設定で「ドロップダウンリスト(単一選択)」として設定した列を表示方法の基準として、行の情報のエッセンスが表示されています。

表示方法の変更によるレーン変更

表示方法を「保管場所」に変更すると、「保管場所」に基づいてカードの列が表示されます。

コンパクト表示

右上のメニューをカードが短く並んでいる方を選択すると、「コンパクト表示」となり、プライマリー列として設定した「備品名」のみのカードが表示されます。

フルビューでのカードビュー設定

右上の歯車のような「カードビュー設定」をクリックすると、プライマリー列で指定される「タイトル」以外に「フル表示」で表示するフィールドを最大9個まで選択することが出来ます。

Trelloをお使いになったことのある方は、カードビューの設定は、Trelloのタイルの編集に似ていると思われるかもしれません。

ここでは利用目的から「現在数」「利用率」を選択してみます。

セルへの画像の貼り付け

 スマートシートのシートでは、シートのセルに画像を直接挿入することができます。

セルに画像を挿入する方法

ビューをグリッドビューにして、画像を配置するセルを選択します。

ツールバーの [画像の挿入] ボタンをクリックします。

画像の場所を選択し、[開く] をクリックします。

画像は列の幅で縮小されて表示され、列を拡大すると画像も拡大されます。

同様に他の行にも画像を張り付けていきます。

カードビューでの画像の確認

以上にようにしてセルに画像をそれぞれの行に貼り付けていった後で、カードビューの「フル表示」に移ると、以下のようにカードに画像が表示されます。

ガントビューでの表示

ガントビューとは

ガント ビューは スマートシート にある 4 種類のビューのうちのひとつで、典型的には、プロジェクト管理でタスクの各作業の開始・終了時期、作業の流れ、進捗状況などを把握するのに用いられます。

WBS(Work Breakdown Structure)

ガントチャートにおいては、縦方向にプロジェクトの各工程を各担当者の作業レベルまでツリー構造にまとめたWBS(Work Breakdown Structure)に基づき、作業内容・担当者・開始日・終了日・作業間の関連などを置きます。

タイムライン

横方向には、横軸に年月日などのタイムラインをおいて、横棒のような「バー」によって期間と進捗状況などを視覚的に示します。

ガントチャートの利用分野

ガント チャートは従来のウォーターフォール型プロジェクト管理では必ずといっていいほど使われるツールです。スケジュールとタスク間の関係を視覚的にわかりやすくする場合にも使用できます。

ちなみに、ガントビューとかガントチャートの「ガント」は、考案者が機械工学者で経営コンサルタントの「ヘンリー ガント」であることに由来します。

すこし非典型的な使い方

備品管理のガントビューでは、やや非典型的な使い方をします。横棒のバーには、購入日から今日までの期間を示しすこととします。また、備品の補充に、残りの在庫が一定数の「発注点」以下になったら発注する「定量発注方式」が用いられていると想定します。そして、スマートシートのガントビューでバーの中にパーセント表示ができることを活用し、現在数を発注点を割った「使用率」を、バーの中に表示するようにします。

これによりそれぞれの備品が最後に購入等されてからどのくらい経っているか、次の補充が行われる発注点まで何パーセントくらいか、を視覚的に確認できるようにします。

ガント ビューを使用するには、シートに少なくとも開始日と終了日という 2 つの日付列が必要ですが、ここでは、購入/リース日と今日の2つの日付列を用います。

また、今日と在庫率を自動計算するため、エクセルの式に相当するスマートシートの式を設定します。

まず、使用率は、「=発注点@row / 現在数@row」を設定し、列を選択し上のメニューから列のデータを「パーセント形式」で表示させます。

次に、「今日」は、「=TODAY()」の式で自動入力されるようにします。

ガントビューの右上の歯車のようなメニューから「プロジェクト設定」を呼び出し、依存関係設定のメニューから「日付範囲表示」で「開始の列」と「終了日の列」を、「オプション」で「%完了の列」を、それぞれ設定します。

条件書式

「条件書式」を用いると特定の条件が満たされると、個々のセルまたは行全体の書式設定が更新されます。

また、ガントビューやカードビューではバーの色などが更新されます。

ここでは備品の分類によってガントビューのバーの色が設定されるよう条件を書いてみましょう。

出来上がりのイメージはこんな感じです。

ガントビュー

カードビュー

条件付き書式ルールの定義

ツールバーの 「条件付き書式」  をクリックして、「条件付き書式」ウィンドウを表示します。

「新しいルールの追加」 をクリックして、新しい空白の条件付き書式ルールを作成します。

条件の設定

まず、最初の「設定条件」としては、「分類」が「PC」を選択します。

書式設定

次に書式設定ではタスクバーが特定の色ーとなるように設定します。

適用対象を設定

条件付き書式の適用対象は「行全体」のままとしておきます。これはガントビューのバーやカードビューのカードの色を変えるためで、行の書式自体はデフォルトのままなので、グリッドビューでは書式は変更されません。

なお、通常はシートの行全体に書式を適用したり、ある列やセルだけに条件付き書式を適用したりします。

スマートシートへの移行による改善

クラウドによるチーム全員によるリアルタイム処理

個々の社員のPCに備品管理のエクセルのシートが保管されている場合に比べると、スマートシートのシートの共有を受けたチームのメンバーはそれぞれの権限に従い、最新の情報を確認したり、情報の更新を行うことが出来ます。

例えば、本社と離れた事業所のメンバーも、本社の備品の状況が分かるため、例えば、本社に過剰な備品の在庫がある場合は、自分の事業所で購入するのでなく、本社の備品の移管を求める、といったことも可能となります。

ガントビュー、カードビューによる見える化

例えば、ガントビューではそれぞれの備品が最後に購入等されてからどのくらい経っているか、次の補充が行われる発注点まで何パーセントくらいか、が視覚的に確認できるようになります。

行へのファイル添付の活用

また、ここでは紹介しませんでしたが、スマートシートのシートは行にファイルを添付することが出来ますので、備品に関連する保証書、仕様書、契約書などの関連するファイルを添付することで、備品に関する情報を一元的に管理することが出来ます。

まとめ

日本の組織に 大量にあると考えられる「エクセル資源のスマートシートによる有効活用」は組織のデジタルトランスフォーメーションの第一歩として非常に有効と考えられます。

このチュートリアルで、エクセルのシートをスマートシートにインポートして、簡単な設定をすることで、クラウド上で共同作用が効率的に行える 「エクセル資源のスマートシートによる有効活用」 がご理解いただければ幸いです。

第2部 モバイルアプリの活用 (予告)

 第2部ではモバイルアプリの活用、ワークフローによる自動化により、更に業務を効率化する方法についてご説明する予定です。

モバイルアプリを使って、その場で簡単に入庫・出庫処理

スマートシートのシートにリアルタイムな在庫数が反映されます。紙やExcel台帳への記載漏れやミスを防いで、在庫管理の精度を高めることができます。

バーコード・QRコードで棚卸しを効率化

モバイルアプリはバーコードを読むことが出来るので、棚卸しはバーコードを読み取って在庫数を入力する方式にすることが出来ます。

集計作業も自動で行われるので、作業後の面倒な作業も無くなります。

スマートシートのシート上で履歴をしっかり管理

誰が、いつ、何個、備品を購入・使用・補充したかを記録。備品の活用状況の分析も可能となります。

発注点を下回ったらメールでお知らせ

指定された在庫数を下回った場合に担当者にアラートメールを配信して在庫切れ・発注漏れを防止することが出来ます。

具体的実現方法(検討中)

以下のようなシートを作る

分類を選択するとその分類の備品が選択できる「コンディショナルドロップダウン」が望ましいが、現在その機能がないので分類ごとにシートを作る。

ダッシュボード等から分類ごとのフォームを選択して、品名を選択、処理内容を選択、数を選択または入力

例えば、処理としては、新規追加登録、利用数登録、補充登録、棚卸登録等でそれぞれ数の増減を伴う。

なお、行の作成日時、作成者が自動で記録される

各分類ごとのシートをレポートで集約して、レポートの集計機能で、現在の備品在庫が計算されるようにする。

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